KDDI系のUQコミュニケーションがWiMAX基地局第一号を完成させたというニュースが
駆け巡った。来年2月のテスト運用開始を掲げているという。
WiMAXはインテルが無線LANの延長戦の技術として策定し、IEEEに提案をして
IEEE 802.16eとして承認されたものです。生い立ちはあくまでもパソコン系の無線LAN。
(
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WiMAXは色んな経緯を経ながら最終的にはIEEE 802.16-2004(固定系WiMAX)と
IEEE 802.16e(モバイルWiMAX)の二つとなっています。UQは勿論後者の16eを採用。
色んな方向に拡張発展させましたが、モバイルWiMAXであるIEEE 802.16eは
最長伝送距離:1~3km。120km/hでの移動の使用も可能ですが200~300Km/hの
新幹線の中では車両自体にアンテナがついていない限り無理そうです。
一つのセルを突き抜けるまで2kmのカバー範囲が有ったとするとアバウトで25~30秒ごとに
ハンドオーバーがやってくることになります。ですからもう少しあげれるような気もしない
でもないですが、普通は限界値でセル設計をせずに余裕を持たせるので15~20秒に
一回程度のハンドオーバーとなりそうです。少しでもハンドオーバーで迷ったら
使い物にならなくなってしまいますね。このことからも例え成功しても将来的にも
新幹線内でWiMAXを使うことは難しいと考えた方がいいでしょう。
WiMAXには様々な利点があるのは確かですが、国際的には非常に立場が弱い。
でUQコミュニケーションの田中社長も言っているように現在世界で採用してるのは
3社(+Willcomで4社)全国的なサービスは日本だけです。韓国はソウル付近のみ、米国は3地域のみ。要は都市部に局地的にサービスするのに
向く規格であり、海外キャリアはそのバランスを理解している。日本はまず全国あまねく
サービスありきの思想。ですので2.5MHz帯で山林地域までカバーしようという無茶な
発想が出来上がります。当然国際ローミングはソウル近辺とアメリカの3地域のみしか
出来ません。これがWiMAXの正しい活用法であり価格をきっちりと下げていいサービスを
展開できるやり方です。それ以外の地域はLTEで800MHz前後の帯域に任せた方がいいです。
短距離選手は中距離や長距離で争う必要はないということです。
また以下のページで4社から二社に選ばれた評価点を知る事が出来る。一番気になるのはワイヤレスブロードバンド企画(後のUQコミュニケーション)の以下の記述。
>ユーザあたり数百~1Mbpsを想定。ユーザが少ない場合は10Mbps程度で通信可能
>WiMAXフォーラムシミュレーションで、セクターあたりの実行速度は下り14.1Mbps、
>上り2.2Mbps
これは都市部では数百~1Mbpsそ速度が前提と捕らえていいということでしょうか。
常時そうではないとは思いますがこれでは現地点ですらe-mobileに対しての優位点が
見出せません。後にもっと競争相手が増えることを考えると・・・。
一方XGPを掲げているWillcom勢はなんとなくやってくれそうな期待感がある。
不利なPHSをここまで上手に商売として成り立たせてきたという実績が有るからだろうか、
不思議と応援してしまう。恐らく得意分野のスマートホンをより使いやすくしてくれるという
期待感が大きい。全国満遍なくサービスを広げようというのではなく、都市都市できっちり
エリア展開した上でまずはサービスの完成度を高めて欲しい。国内最後のPHS業者と
して生き残って欲しいという願いも含まれています。
WiMAXはどっちかというと一般携帯分野ではなく、組み込み機器として私たちとは
関係ない世界で生き残っていきそうに思います。あとXGPは完全に今のPHSを代替
する方向で生き残っていくだろうと思いますが、基地局までのインフラがISDNでよかった
部分はどう入れ替えをするのかによるだろうと思います。あんまりコストがかかる
ようでは成り立ちませんから。
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- 2008/09/02(火) 20:31:22|
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